オーケストラの楽器:フルート

フルート(Flute)は木管楽器の一種。リードを使わないエアリード(無簧)楽器であり、唇から出る空気の束を楽器の吹き込み口の縁にあてることで発する気流の渦(エッジトーン)を発音源とする。

* 英:flute
* 独:Flöte (特に横笛をさす場合にはQuerflöte)
* 仏:flûte (特に横笛をさす場合にはflûte traversière)
* 伊:flauto (特に横笛をさす場合にはflauto traverso)

現在、一般にフルートというと、ここで述べる、数々のキー装置を備えた、オーケストラに用いられる横笛を指すが、古くは広く笛一般を指した。

特にバッハなどバロック音楽の時代にあっては、単にフルートというと、現在一般にリコーダーと呼ばれる縦笛を指し、現在のフルートの直接の前身楽器である横笛を指すには、「横の」(トラヴェルソ)という形容詞を付けて「フルート・トラヴェルソ」呼ばれていた。(単に「トラヴェルソ」と略されることもあった。)

現代では、ごく少数の黒檀(グラナディラという、主にクラリネットに使用されている木材)などの木製楽器を除いて、通常は洋銀、銀、金、プラチナなどの金属で作られるが、歴史的、構造的に、金管楽器ではなく、無簧の木管楽器に分類される。

>>構造
フルートはかなり全長の長い楽器(約70cm)であるため、全体を三分割して保存・携帯する。 歌口(吹き込み口)がある部分を頭部管、一番長い部分を胴部管、一番短い部分を足部管と呼ぶ。

頭部管を挿入する長さを変化させることにより全体の音高が変わるため、楽器が分割構造になっていることは、他の楽器とピッチを合わせる(チューニング)場合にも重要である。

頭部管は、歌口の部分で内径17mm、胴部管と接続する部分で内径19mmの円錐形である。

歌口に近い方の端がヘッドスクリューと呼ぶ部品によって塞がれている。管内の歌口に近い位置に反響板があり、ヘッドスクリューと連結されている。

コンサートフルートでは反響板の位置は歌口の中央から17mmが適切であり、ここからずれているとピッチに支障がある。

歌口は楕円形ないし小判形(角の丸い矩形)で、音源としてとしてエッジトーンを発するためにある程度の高さ(約4.5~7mm)を持っており、木製など管そのものに厚さがある場合は管厚を利用して、また金属製の場合にはライザーと呼ばれる短管を介してリッププレートを取り付けて歌口穴を形成する。

歌口部分がある程度の外径を持つことは、吹奏にあたって下顎に当てた際の安定性の確保の点からも重要である。

歌口の形状や大きさは音色、音量、発音性などに影響があり、楽器メーカーによって異なる。また同一メーカーでも、いくつかの歌口形状の頭部管を製作している場合がある。

胴部管は円筒形で、標準的なコンサートフルートの場合、頭部管に近い位置に比較的小さなトーンホールが3つと、それ以外に管の内径(19mm)とほぼ同じ大きさのトーンホールが10個、管体上面および側面にある。

トーンホールが指で押さえられないほど大きく、またその数が指よりも多いため、一部が互いに連結されたキーシステムによってトーンホールの開閉を操作する。キーの裏側にはタンポと呼ばれるパッドがあり、トーンホールを閉じた際の気密性を確保している。

そもそものフルートはD管であり、その低音域を拡張する目的で後に足部管を継ぎ足した姿が標準的な現在の姿になったのであるが、現在は移調楽器としてみなされてはいないものの、古来の姿のまま足部管を持っていないピッコロやフラウト・トラヴェルソの最低音がD音であるのは、その名残である。

現代のフルートにおいては足部管が標準的に使用されているが、足部管は胴部管と同じ内径の円筒形で、3つないし4つのトーンホールを持つ。

そのトーンホールが3つの場合はC足部管と呼ばれ、そもそもの最低音D4から下部に拡張された最低音はC4である。

トーンホールが4つの場合はH足部管(アメリカの楽器メーカーの場合はB footjointと表記)と呼ばれ、そもそもの最低音D4から下部に拡張された最低音はB3である。

H足部管を用いると全体の音色はやや太く強めになるといわれ、リングキーにする場合も多い。また、高音域が安定する(逆にいえば変化をつけにくい)ともいわれている。H足部管を用いることによって一部の運指(※)は影響を受ける。

※標準的なC7の運指、およびいくつかの替え指とトリルの運指がこれに該当する。